令和6年度 助成団体へのインタビュー。活動に対する想いをお聞きしました。(Purみんなの学校)

こんにちは、サンクゼール財団です。
2025年10月6日に、令和6年度助成団体のひとつPurぴゅーるみんなの学校」(長野県箕輪町)を訪問しました。

今回は、代表の北原さんにお話を伺いながら、子どもたちの居場所づくりの取り組みや、助成金がどのように活用されているのかを教えていただきました。
“Pur”とは、「純粋な」という意味が込められているのだとか。その名の通り、一人ひとりに寄り添い、子どもたちの個性を大切に育むPurみんなの学校の活動の様子をレポートします。

Purみんなの学校 概要

【主な活動地域】
長野県上伊那郡箕輪町(会場:上伊那郡箕輪町大字中箕輪13173-98)
【開催日時・活動内容】
平日10時~15時はフリースクールとして活動。学習支援や、居場所の提供を行う。
毎週月曜日には子ども食堂として、食事の無償提供を実施している。
【Instagram】
http://www.instagram.com/minnanokichi_minowa

【お話をお聞きした人】
北原智美さん(前列右):目の前の困っている子どもを助けたいという想いで活動を開始。一人ひとりに寄り添った支援に取り組む。Purみんなの学校の運営に加え、上伊那地域での子ども食堂ネットワーク形成なども精力的に取り組んでいる。

子どもたちが安心して過ごせる居場所づくりを

北原さん:Purみんなの学校は、子どもの居場所提供をメインに2023年1月から活動をスタートしました。
最初は現在とは違う場所で始まりましたが、その地域には公園や公民館など、子どもたちが自由に遊べる場所がほとんどなかったんです。「子どもたちが安心して過ごせる場所をつくりたい」という思いから、誰でも気軽に立ち寄れる居場所づくりを始めました。
その活動を続けるうちに、食事やおやつを必要としている家庭の存在に気づき、少しずつ支援の内容を広げていきました。
そして今では、学校に通いづらい子どもや居場所のない子どもたちなどを対象に、月曜日の昼間に子ども食堂を開いています。

北原さん:そうですね、月曜日って登校が難しい子どもが多いんです。それぞれに事情はありますが、家にいるだけだと気持ちが沈んでしまうこともありますよね。
だからこそ、子ども食堂を“居場所”として活用してもらうことで、少しでも気持ちが前向きになったり、学校に戻るきっかけになったらいいなと思っています。
また子ども食堂の活動と並行して、フリースクール事業も同じ会場で実施しています。こちらは、平日の10時~15時に開催しているのですが、参加することで”出席扱い”になるんです。学校とさまざまな連携を取りながら、活動をしています。

居場所の一室
子どもたちは、それぞれのペースで、宿題をしたり読書を楽しんだり、思い思いに過ごします

活動を通じて見えてきた課題と変化

北原さん:「本当に私たちが使ってもいいんですか?」と、遠慮されるご家庭は想像以上に多いですね。子ども食堂=貧困支援というイメージが先行してしまい、「自分たちは対象ではないのでは」と参加をためらうケースもあります。
困りごとがあっても、なかなか声を上げづらい。皆さん本当に謙虚で、遠慮される方が多いんです。
そんな方には、「ぜひ一度来てみてください」と声をかけています。実際に参加してみると、「ここにいていいんだ」と安心感を持ってくださり、継続して利用してくださる方も増えてきました。「また来たい」と思ってもらえることは、私たちにとっても嬉しいですし、大きな成果だと感じています。

会場の一室には、子ども服のリユースコーナーも
必要なものは自由に持ち帰ることができます

北原さん:Purみんなの学校では、保護者の方への支援にも力を入れています。
学校と家庭の間で、時には対立が生じてしまうことがあります。そうした場面では、保護者が強いストレスや孤独感を抱えてしまうことも少なくありません。
たとえば、学校で何かトラブルが起きた際に、「原因は家庭にある」と学校側から言われてしまうことがあります。それだけで、保護者は強く否定されたような気持ちになってしまいますよね。
そんなとき、Purみんなの学校では、第三者として中立的な立場から関わることで、学校と家庭の関係改善や課題解決につなげる取り組みを行っています。決して学校を敵に回すのではなく、保護者の方には「私たちは味方だから大丈夫ですよ」と声をかけ、寄り添うことを大切にしています。また、支援面談を学校ではなく、ここ(Purみんなの学校 会場)で行うこともあります。スタッフも同席することで、保護者の心理的な負担を少しでも軽くできるよう心がけています。

助成金が支える“おいしい”居場所づくり

――サンクゼール財団の助成金の使い道について、教えてください。

北原さん:助成金の一部は、夏休みの特別企画”リクエストメニュー”に活用しました。
子どもたちからのリクエストに応じて、カレー、チャーハン、パスタ、そうめんなど、いろいろな食事を提供することができました。たこ焼きなんか、暑い中2回もやりまして(笑)。
夏休み期間中は週3日開催していて大変でしたが、喜んでくれたのが何よりですね。

夏休みの特別企画”リクエストメニュー”

北原さん:他には、食材運搬時のガソリン代や、ボランティアさんの交通費に活用しています。
ガソリン代の高騰がずっと続いているのと、自己負担でやってきていたので助かります。
「食材の購入に使ってください」という助成金は多くありますが、食材を運搬するガソリン代もどうしても不可欠なんです。なので、今回の助成金はガソリン代に充てられたのはありがたかったです。
今後も引き続き、必要とする子どもやその家族に寄り添い、家でも学校でもない居場所の提供を継続していきたいと思います。

訪問日のメインメニューは焼肉丼
寄付された食材を無駄なく使い切ることも、大切なこだわりです

おわりに

「私たちの活動のテーマは“愛”です。すべての行動に、愛を込めています」と語ってくださった北原さん。

その言葉の通り、子どもたちはとてもリラックスした様子で、思い思いに過ごしていました。みんなで遊んだり、静かに宿題をしたり、料理のお手伝いをしたり——その姿からは、安心できる居場所であることが伝わってきます。

保護者の方にとっても、ここは心の拠り所となる場所。誰かがそばにいてくれるという安心感が、日々の子育てや悩みにそっと寄り添っているように感じました。

子どもにも、大人にも、あたたかく開かれたこの場所には、北原さんの言葉通り“愛”が満ちた空間でした。

サンクゼール財団は、これからもこうした現場の声に耳を傾けながら、地域に根ざした助成事業に取り組んでまいります。

▼Purみんなの学校 Instagram
https://www.instagram.com/minnanokichi_minowa/