第1回助成事業 助成団体へのインタビュー。活動に対する想いをお聞きしました。(もぐもぐキッチン・ララ・ランチ)
こんにちは、サンクゼール財団です。
2025年10月19日に、第1回助成団体の一つである「もぐもぐキッチン・ララ・ランチ」(長野県飯田市)を訪問しました。
もぐもぐキッチン・ララ・ランチは、元栄養教諭によって立ち上げられた子ども食堂。毎月1回、子ども料理教室を開催しています。子どもたちが食を通じて体験し、学ぶ場を大切にしているのが特徴です。
今回の訪問では、料理教室の後に行われた、年に一度のお楽しみイベント「さつまいもと落花生の収穫体験」にも参加しました。
食を通じて子どもたちの力を育む、もぐもぐキッチン・ララ・ランチの活動の様子を、ぜひご覧ください。
もぐもぐキッチン・ララ・ランチ 概要

【主な活動地域】
長野県飯田市(主な会場:飯田市上郷公民館 長野県飯田市上郷飯沼3145-1)
【開催日時・活動内容】
子ども料理教室を月1回開催するほか、秋には希望者を対象にさつまいもと落花生の収穫体験を行う。
【お話をお聞きした人】
林静子さん(写真右、もぐもぐキッチン・ララ・ランチ代表。元栄養教諭)
林宗吉さん(写真中央)
北原さん(写真左、元栄養教諭)
秋の味覚で親子クッキング
会場に入ると、ちょうど料理の真っ最中。調理室には楽しそうな声が響いています。この日の参加人数は普段より少なめとのことでしたが、雰囲気はとても賑やかでした。

衛生面にも配慮し、料理を作ります
メニューは、豚汁、新米のおにぎり、そしてさつまいもスコーン。旬の食材を使用した、秋の特別メニューです。
「子どもでも作れるように、簡単なメニューにしています」とのことですが、時間までに仕上げるのは大変!
親御さんも一緒にお手伝いしながら、役割分担して調理を進めます。
豚汁は丁寧に灰汁を取り、さつまいもスコーンは好きな形に整えていきます。子どもたちはみんな真剣な表情で集中していました。

そして、いよいよお待ちかねの食事タイム。秋の旬の食材をふんだんに使ったメニューはどれもおいしく、あっという間に完食です。

自然と会話が弾みます
掘って、見つけて、味わって。秋の収穫体験
この日のお楽しみはもう一つ。年に一度の収穫体験です。林さんの畑に移動し、さつまいもと落花生の収穫に挑戦しました。
「大きいお芋あった!」「こっちにもあるよ!」と、畑には楽しそうな声が響きます。

落花生が畑で育っている様子を初めて見る子どもも多く(実は私も初めてでした)、みんな興味津々。「これを乾かしたらピーナッツになるの?」「どのくらい乾かすの?」と、疑問が次々と飛び出します。
収穫後は、林さんのお宅に移動。取れたての落花生を静子さんと北原さんがその場で茹でてくれました。
自分たちで収穫した落花生の味わいは格別。子どもも親も笑顔いっぱいです。

普段では味わえない、記憶に残る体験です
食の体験を通じて、「子どもの力」を育む
収穫体験の終了後、スタッフの皆さんにインタビューを行いました。
――食事づくりや収穫体験など、食に関するさまざまな経験ができた一日でした。どのような想いから、「もぐもぐキッチン・ララ・ランチ」という体験の場が生まれたのでしょうか?
北原さん:元々、静子さんと私は、栄養教諭仲間なんです。静子さんは以前から「子ども食堂をやりたい」と言っていて、私が退職するタイミングで活動を始めました。やり方や場所を探しながら、あちこち見学にも行きましたよね。
静子さん:そうですね、いろいろな団体の活動を見に行きました。でも、「食べておしまい」という活動が多いなと感じて…。「子どもはただ与えられて食べるだけ。これって子どもにとって、何かの力がつく活動なのかな?」と疑問に思ったんです。そこで、私たちは『子ども料理教室』の活動をやろうと決めました。
――立ち上げの時から、「ただ食べるだけでなく、自分で作って食べる体験」を大切にしているのですね。子どもたちもとっても楽しそうでした。
北原さん:毎回、料理教室の後にアンケートを取っています。今年から「もぐもぐキッチンで体験したレシピを家でも作りましたか?」という質問を追加したのですが、結構作ってくれているみたいです。写真を見せてくれる親御さんもいて、嬉しかったですね。
宗吉さん:やっぱり、子どもや親御さんが楽しんでくれることが一番だな、と思います。子ども食堂の活動ではありますが、参加者に制限などはしていません。
北原さん:「貧しい人が行く場所」と思われると、人が集まらなくなってしまいます。だから、制限せず誰でも来られるようにしています。貧困支援というよりも、私たちは「食の充実」を目指しています。食べることや作ることに興味を持つ子が増えてくれたら嬉しいです。
継続と広がりを目指して
――活動を通じて、子どもたちや家庭に変化はありましたか?
北原さん:「休日に家で料理を作ったら家族がとても喜んでくれた」「班で調理するので、周りをよく見て必要なことをするようになった。分担して協力する大切さも学んだ」という声があり、嬉しかったです。アンケートに「新しい友達ができた」と書いてくれる子もいます。
宗吉さん:一緒に料理を作る体験を通じて、子ども同士の協力が生まれている様子も見かけます。何かをしようとしたときに、同じ班の子が手を貸してくれたりね。
それに、私たちスタッフもいい影響をもらっているんです。子どもたちや親御さんと友達になれたというか、接することで元気をもらっています。
――これからやっていきたいことや目標はありますか?
北原さん:まずは、これからも継続していくことですね。開催すると、こうしてみんな来てくれる。「やっぱり需要はあるんだな」と感じています。
他の市町村に支部を作ろうか、なんて話も出ています。まだ実現には至っていませんが、対象地域を広げていけるといいですね。子どもたちとの交流を続けていきたいと思います。
おわりに
「給食は、ただ食べるだけだから、子どもたち自身の力がつきません。自分で手を動かして、考えてやってみることは学校給食では難しいけれど、ここならできる。もぐもぐキッチン・ララ・ランチでの体験や知識は、大人になっても記憶に残ると思います。」
そう語ってくださった代表の静子さん。長年学校給食に携わってきた経験を生かし、子どもたちの未来を見据えた活動に取り組んでいます。
この取組みを通じて、子どもたちが「食べる」だけでなく「作る楽しさ」を知り、食を通じて広がる学びと笑顔が、これからも地域に根付いていくことを願っています。

