第1回助成事業 助成団体へのインタビュー。活動に対する想いをお聞きしました。(放課後BASEのごはん)

こんにちは、サンクゼール財団です。
2025年11月15日に、第1回助成団体の一つ「放課後BASEのごはん」(長野県中野市)を訪問しました。
「放課後BASEのごはん」は、街にひらかれた、「誰もがふらっと立ち寄れる」居場所を提供する団体です。今回は、地域に根差した活動の様子を拝見するとともに、スタッフの池田さん、関さんを中心に、活動に対する想いをお聞きしました。

放課後BASEのごはん 概要


【主な活動地域】
長野県中野市(会場:中野市社会福祉協議会グループホーム青りんご1階 長野県中野市中央1丁目8−13)
【開催日時・活動内容】
毎月第3土曜日 11時~14時
【お話をお聞きした人】
池田さん(
写真中央)、関さん(写真右)

商店街の角にひらかれた、まちの居場所

商店街の角にある「放課後BASEのごはん」。
外から見ると、子ども食堂というよりも商店街の一店舗のような佇まい。「ここは何のお店だろう?」と思わず足を止めたくなります。
店内では、地元のおばあちゃんたちが楽しそうにおしゃべりをしていました。この場所を待ち合わせ場所として利用しているのだそうです。

スタッフの方々が、丁寧におにぎりを握ってくれます

ほどなくして運ばれてきたのは、おにぎりとお味噌汁。
地元・中野市産の食材にこだわった具だくさんのお味噌汁と新米のおにぎりは、シンプルながらも心と体が温まるやさしい味わいです。

おにぎりは、「味噌おにぎり」と「塩昆布おにぎり」の二種類
「味噌おにぎり」はこの地域では定番なのだとか

通りがかった人が「ここは何のお店ですか?」と立ち寄る場面も見られました。「こんなところがあったんだね」と話しながら、初めて訪れた人も、温かい食事を前に自然と心がほどけていきます。
ここは、誰もが気兼ねなく、思い思いの時間を過ごせる――まさに、まちにひらかれた居場所でした。

「エモい」体験を、地元

食事をいただいたあと、ボランティアスタッフの池田さんと関さんにお話をお聞きしました。

池田さん:私たちは「おとまち倶楽部」という自主活動グループに所属しています。おとまち倶楽部は中野市を拠点に、「中野市の住民の皆さんが健康で明るく住み良いまちを創ること」というミッションを掲げ活動している団体です。その取り組みの一つとして、誰でも気軽に集える子ども食堂「放課後BASEのごはん」を開催しています。

関さん:「放課後BASEのごはん」を始める前に、通りすがりの中学生に「今、どんなことに興味がある?」と聞いてみたんです。すると返ってきたのが、「エモいことをしたい」という言葉でした。
「エモい」と感じるものは人それぞれですが、その言葉の奥には、思い出づくりや人とのつながり、地元でごはんを食べたり、地元を知ったりする経験を求める気持ちがあるように感じました。
そうした声を聞く中で、私たち自身も、実は地元のことを意外と知らずに過ごしてきたのだと気づかされたんです。

池田さん:もうひとつ、「居場所がない」という声もありました。
私たちが中高生だったころは、お決まりの寄り道先がありました。でも、今の子たちに聞くと「寄るところがない」と。
だから、「通学途中にふらっと立ち寄れる場所をつくりたい」、そんな想いもあって活動を始めました。
現在は月に一度、土曜日に開催しています。本当は平日の放課後に開きたいんですが、なにせ運営側が現役世代なので(笑)。今はお試し期間という感じですね。

商店街の一角、青いのぼりが立つこちらが会場

池田さん:私たちの活動のコンセプトは「誰でも来ていい場所」
高齢者、子ども、障がい者など、既存の制度では拾いきれない人たちにも安心して来てもらえるよう、年齢や立場で区切らない居場所づくりを大切にしています。
地元の方はもちろん、結婚を機に移住してきたご家族が、興味を持って訪れてくれることも多いですね。まだまだ道行く人に声をかけても素通りされることはまだ多いですが、続けていくことで少しずつ届いていくと信じています。

地元の味を、子どもたちの思い出に

池田さん:量より質というか、「ちゃんとしたものを、ちゃんと出す」ことは大切にしていますね。食材は地元産にこだわっています。
今日お出しした味噌おにぎりは、お年寄り世代にとっては懐かしい味ですが、一方で子どもたちにとってはここで初めて出会う味だったりするんですよね。
「味噌おにぎりおいしかったな」とか「なんか青いTシャツのおばちゃんたちが頑張っていたな」とか。そんな記憶が地元の思い出だったり、地元愛につながってくれたら嬉しいですね。
私たち、若いようでいて、もう若くはないので(笑)。だからこそ、次の世代につなぐことを大切にしています。

関さん:昔は近所のおじちゃん・おばちゃんと接する機会がもっとあったけれど、今は学校と家の往復になりがち。でもここでは、先生でも家族でもない誰かと出会い、会話が生まれるんです。それも大事な経験だと思います。

池田さん:最近は体験の機会も増やしていますね。買い物に行く、コーヒーをいれてみる、お茶出しをする――昔は当たり前だったことでも、今の子どもたちにとってはちょっとしたチャレンジだったりするみたい。
そうした体験を通して、アナログを学べる場所でありたい、という思いもあります。もしかすると、こうしたアナログな体験こそが、子どもたちには新鮮で「エモい」と感じる要素のひとつなのかもしれません。
「一日いてもいいし、ごはんだけ食べて帰ってもいい」。そんな自由さを大切にしながら、できることを、できる形で続けていこうと思います。


おわりに

「放課後BASEのごはん」は、ふらっと立ち寄れて、地元の味に出会える場所。
そこには、ゆるやかながらも確かな人と人のつながりがあり、年齢や立場を超えて、誰もがそのまま受け入れてもらえるあたたかさがありました。
ここで交わされる何気ない会話や小さな体験が、子どもたちの心を育てるとともに、訪れる一人一人にとっての居心地のよい時間となり、より一層、地域に根付いた居場所として育っていくことを願っています。